研究課題
本年度は、星間物質の組成と物理状態の診断に利用するため、「あかり」中間赤外線全天サーベイデータから、精度の良い銀河面物質の放射マップを作成するための、解析を進めた。さらに、このデータと「あかり」遠赤外線マップを合わせ、星形成領域などの局所領域において、画素 (視線方向) ごとに、有機物の放射・加熱されたダストの放射・冷たいシリケート系ダストの放射などを成分分離し、領域の物質の物理状態を推定する方法を模索した。これと並行して、惑星形成過程における物質進化の理解のため、惑星形成過程と思われる天体のダスト円盤 (デブリ円盤) の探査を行った。「あかり」全天サーベイ観測結果からセレクトした、デブリ円盤候補について、名大で運用している南アフリカ近赤外線望遠鏡 (IRSF) による追観測により、ダスト円盤の検出精度を上げた上で、候補天体をリストにまとめ投稿した。さらに、これらの円盤における組成・物理状態を調査するため、すばる/COMICSによる中間赤外線での分光追観測の提案を行った。これらの成果は、国際研究会 "THE UNIVERSE IN THE LIGHT OF AKARI and Synergy with future Large Space Telescope" に於ける、6本の口頭発表にて報告した。
3: やや遅れている
「あかり」中間赤外線全天サーベイデータより作成したマップを、他波長のマップと合わせて解析しようとしたところ、データに対する黄道光 (太陽系の惑星間空間塵の熱放射) の差し引き精度が不十分であることが分かった。このためスケジュールを遅らせ、太陽系内の塵粒子の物理に基づく、黄道光モデリングに取り組むことにした。
星間空間での物質進化の理解にのために、「あかり」中間赤外線全天サーベイデータから、より精度の良い銀河面物質の放射マップを作成する。そのために、太陽系内の塵粒子の物理に基づいて黄道光のモデリングを行い、「あかり」のデータから、前景光である黄道光を精度良く差し引く。また、このマップを他波長のマップと組み合わせ、局所領域における放射の波長依存性の空間分布を調べ、これから領域内の物質の物理状態を調べる方法を確立し、星形成などの天体現象の解釈に応用する。惑星形成過程の物質進化に関しては、「あかり」中間赤外線全天サーベイで見つけた惑星形成過程と思われる天体 (デブリ円盤) の、詳細な物理状態を調べるため、すばる・VLT・ASTE等での追観測を進める。
「あかり」全天サーベイデータより作成した中間赤外線全天マップを、他波長のマップと比較したところ、データに対する黄道光 (太陽系の惑星間空間塵の熱放射) の差し引き精度が不十分であることが分かった。このため、6ヶ月スケジュールを遅らせ、太陽系内の塵粒子の物理に基づく黄道光モデリングに取り組むことにした。
黄道光のモデリングおよび、それを適用した全天マップの作成のために、次年度使用額を利用して、計算機と記憶装置のリソースを用意する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 9件、 招待講演 1件)
Planetary and Space Science
巻: 100 ページ: 6-11
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Proceedings of the SPIE
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