| 研究課題/領域番号 |
26707014
|
|---|
| 研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
|---|
研究代表者 |
岡田 信二 国立研究開発法人理化学研究所, 東原子分子物理研究室, 協力研究員 (70391901)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
| キーワード | 超伝導検出器 / マイクロカロリメータ / X線分光 / エキゾチック原子 / ハドロニック原子 / K中間子 / J-PARC / 国際情報交換 |
|---|
| 研究実績の概要 |
近年急速な発展を遂げてる超伝導遷移端センサー(TES)マイクロカロリメータX線検出器とその多素子読み出し技術を、世界に先駆けて当該分野に導入し、次世代ハドロニック原子高精度X線分光の開拓を目指す。協力関係にあるアメリカ国立標準技術研究所(NIST)の240ピクセルTES素子を用いたK中間子原子X線精密分光の実現により、K中間子-原子核間の強い相互作用ポテンシャルの深さに関する長年の謎の解明を目標とする。
本年度前半は、昨年度実施したPSIにおけるπ中間子原子X線分光実験の詳細なデータ解析を行い、その解析結果を元に、TESを用いたK中間子原子X線精密分光実験の提案書をJ-PARCプログラム委員会(PAC)に提出した。2015年7月のPAC実験審査会の結果、本提案は「J-PARC E62」という新実験番号で採択され（Stage-2採択）、本実験の意義と実行可能性の両方が認められた。これを受け、年度後半は、本実験で使用するTES検出器・読み出しエレクトロニクス・データ収集システム・断熱消磁冷凍機の準備を進め、実機試験を米国NISTにて現地研究者と協力して実施し、E62実験に十分な基本性能を持つことを確認した。2016年1月のJ-PARC PAC実験審査会においては、E62実験のコミッショニングビームタイムを申請し、2016年6月に実施することが決定した。本ビームタイムでは、実際のJ-PARC K中間子ビームラインに於ける、静止K中間子の調整、及び、TESシステムのフルコミッショニングを予定している。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目標である「TESを用いたK中間子原子X線精密分光実験」が、J-PARCプログラム委員会(PAC)によって採択されたことは、本年度の最も大きな進展である。さらにコミッショニングビームタイムも認められ、これに向けたTES検出器の準備や、静止K中間子調整に用いる検出器等を順次用意を行うことができた。現在このビームタイムに向けて準備を進めている。計画は、おおむね順調に進展している。
|
| 今後の研究の推進方策 |
以下の方策で本研究を推進する：
(1) J-PARCのK中間子ビームライン (K1.8BR) に於いて、静止K中間子の調整、及び、TES検出器システムのフルコミッショニングを実施する（2016年6月）。
(2) コミッショニング実験のデータ解析結果をまとめ印刷公表する。
(3) 本ビーム試験結果を受けて、TESを用いたK中間子原子X線精密分光実験 (J-PARC E62) の最終セットアップを決定し、J-PARC実験審査会(PAC)に本実験（Physics run）のビームタイム要求を行う。
(4) 液体ヘリウム標的システムとTES検出器システムの融合部（真空容器）を製作し、J-PARCにて動作試験を行う。
(5) J-PARCにおける本実験の開始時期は、競合する他の実験グループへのビーム供給時期などに大きく依存するが、2017年度前半のビームタイムを目指し、Physics run実施に向けた準備を行う。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
本年度、実験装置の一部を製作する予定だったが、次年度、J-PARCにてコミッショニング実験の実施が決定した。この実験結果を反映させた実験機器の製作を行うため、当初予定していた製作の一部を、次年度に行うことにした為。
|
| 次年度使用額の使用計画 |
コミッショニング実験の実施（旅費等）、及び、TES検出器システム・ビームライン上に設置する機器の一部の製作（実験結果を反映）の為に使用する。
|
