研究課題
本研究は、宇宙線中に微量に含まれている反粒子(とりわけ未発見の反重陽子)の高感度探索を通じてダークマター等の初期宇宙物理の課題に迫ることを最終目的としている。宇宙線反重陽子は、超対称性粒子ニュートラリーノを始めとするダークマター候補の対消滅等を起源として極微量が存在している可能性がある。その検出に最適な低エネルギー領域(運動エネルギー数100MeV)にて最高の観測感度を得るため、宇宙線反粒子と測定器ターゲットとが形成するエキゾチック原子の崩壊過程から生ずる特性X線や荷電粒子を利用する、という従来にないオリジナルな粒子識別手法を用いた反粒子宇宙線測定器「GAPS(General Anti-Particle Spectrometer)」の開発を進めている。平成28年度は、前年度に引き続き、先進的技術の活用によるGAPSに必須な要素技術の開発を進めた。特に、Si(Li)型半導体検出器の冷却システムとして、OHP(自励振動ヒートパイプ)という先進的な熱工学技術の開発を進めた。従来のOHP研究は主に小型・単純構成・常温の基礎研究であったが、GAPS用OHPには大型・複雑な配管構成・広温度範囲、という従来にない環境下での動作が求められる。前年度に開発した実機大OHPモデルをさらに発展させ、冷却の均一性を予見し向上させるための試験を重ね、OHPの実用化に向けた重要かつ系統的なデータを蓄積した。Si(Li)検出器そのものに関しては、産業界の知見も融合しながら試作を重ね、量産工程の最適化を図っている。また、TOFプラスティックシンチレーションカウンタに関しては、GEANT4シミュレーションと実モデルによる評価試験を重ね、測定器の形状や配置の設計最適化を進めた。以上により、GAPSを実施フェーズに移行させるための中核技術や知見を獲得することができた。得られた成果は学会や学術論文にて発表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
J. of Astronomical Instrumentation
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1142/S2251171717400062
Transactions of Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Aerospace Technology Japan
巻: 14 ページ: Pi17-Pi26
10.2322/tastj.14.Pi_17
http://gaps.isas.jaxa.jp/