研究課題/領域番号 |
26707022
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
青木 隆朗 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10343146)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 量子エレクトロニクス |
研究実績の概要 |
一般的な単一モード光ファイバーと断熱的に接続したサブ波長径ナノ光ファイバーの先端、およびこれをさらに断熱的に接続した細線導波路の先端における出射モードを精密に制御することで、単一原子等の単一量子発光体と光ファイバーの基本モードを高効率に結合するナノフォトニクスデバイスを開発する本研究の目的のためには、サブ波長径ナノ光ファイバーと単一モード光ファイバーとの接続部(テーパー部)における損失を極限まで抑制することが重要である。テーパー部の損失は、本質的には有限なテーパー角による基本モードと高次モードの結合によって起こる。高次モードへの結合はテーパー角が小さいほど抑制されるが、その結合率は基本モードと高次モードの局所的な伝搬定数の差に依存し、断熱条件として定式化されている。すなわち、局所的なテーパー角が断熱基準角と比べて十分小さければ、テーパーは断熱的であり、高次モードへの結合は無視できる。これまで、テーパーファイバーのテーパー形状としては指数関数形状や直線形状が用いられてきたが、断熱条件を考慮して高次モードへの結合による損失を抑制したテーパー形状の検討やその作製はなされていなかった。そこで、断熱条件を満たすテーパー部の最適形状を求めるとともに、その作製方法を開発した。その結果、従来用いられていた直線形状(テーパー角2 mrad)のものと比べて、同程度の透過率を維持しながら全長を1/3に短尺化に成功した。さらに再現性についても検討し、5本のテーパーファイバーを作製したところすべて99%以上の透過率が得られた。また、テーパーファイバーと結合した微小光共振器を用いた共振器量子電気力学系に関する理論検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
断熱条件を満たすテーパー部の最適形状を求めるとともに、その作製方法を開発することができた。この結果はOptics Express誌に掲載された。また、テーパーファイバーと結合した微小光共振器を用いた共振器量子電気力学系に関する新たな理論を確立した。この結果はPhysical Review A誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに開発したテーパー作製技術をもとに、サブ波長径ナノ光ファイバーの先端における出射モードの精密な制御技術を開発し、さらに単一原子等の単一量子発光体との結合を実現し、光ファイバーの基本モードを高効率に結合するナノフォトニクスデバイスを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
断熱条件を満たすテーパーファイバーの作製に関して大きな進展がみられたことから、その完成と論文発表を優先させることとし、本年度に予定していた平面端ナノ光ファイバー作製技術の開発を次年度に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
平面端ナノ光ファイバー作製技術の開発に使用する。
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