研究課題
前年度に構築に成功した全ファイバー共振器と単一原子の強結合系に関する詳細な理論検討を進めた。その結果、ファイバー共振器長を変えることで強結合領域から弱結合領域まで、量子電気力学における原子と光の結合条件に関する2つの領域を連続的に掃引できることがわかった。特に、1 mを超える長い共振器に対して強結合条件が実現できることは特筆すべきである。このような長い共振器は100 MHz オーダーの小さなフリースペクトラルレンジを持つため、異なる共振器縦モードを量子3準位系の2つの遷移に同時に共鳴させることが可能になる。これは、単一光子を制御光とした巨大な非線形光学応答の発現につながる発見である。また、ナノ光ファイバーと結合させる単一量子発光体として、単一原子・単一量子ドットに加えてダイヤモンド結晶中のNV中心を検証した。ダイヤモンド結晶中のNV中心は固体中の単一量子発光体として極めて小さなデコヒーレンスを持ち、光との結合が強いため、光を用いた量子情報技術への応用に有用である。一方で、ダイヤモンドは誘電体として高い屈折率(~2.4)を持つため、結晶外部のモードとの結合が困難であるという問題があった。そこで本研究では、ナノワイヤ状のダイヤモンドとナノ光ファイバーを用いることで、75%もの極めて高い自然放出結合効率が達成できることを明らかにした。これは、本研究が掲げる「導波路量子電気力学」の有用性を示すものであり、本研究期間終了後の大きな発展が期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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