研究課題
本年度は本研究の主な研究対象である、光駆動Na+ポンプ(KR2)を中心とした各種ロドプシン分子について、機能解析や分光測定などを行い、その成果を8報の論文と3報の総説、15件の招待講演などで発表した。特にKR2の輸送メカニズムについて、新たにAsn112変異体について、網羅的な変異体実験を行い、この部分におけるアミノ酸側鎖の大きさが輸送機能に重要なことを明らかにし、Biochemistry誌にその成果を報告した。その他、Na+ポンプとその近縁にあるH+およびCl-ポンプの輸送機能を決定に関わるアミノ酸残基を明らかにするため、3種類のポンプの間で機能転換実験を行ったところ、分子進化の中で祖先型のタンパク質の持つ機能に重要な構造要因が子孫の分子にも保存されていることが明らかになった。この成果についてJ. Biol. Chem.誌に公表したところ、高い注目度を集め、同誌の2016年のHighlight論文(掲載論文2,377報中23報)の一つに選ばれた。また新たに海洋性細菌から光駆動型内向きH+ポンプロドプシンを発見し、注目度の高い総合科学誌であるNature Commun.誌に成果を発表した一方で、KR2以外のNa+ポンプ型ロドプシンについてもホ乳類細胞中での発現を評価し、新規オプトジェネティクスツールとしての有用性を確認することに成功している。また本年度研究代表者の井上は、Na+ポンプ型ロドプシンのメカニズム研究について26th IUPAC International Symposium on Photochemistryで口頭発表を行い「Awards for excellent presentations: Young researcher oral presentation awards」を受賞した。このことは本研究で行ったNa+ポンプ型ロドプシンのメカニズム研究が、極めて高い注目度と評価を得ていることを示している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 8件) 学会発表 (57件) (うち国際学会 25件、 招待講演 14件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件)
Biophys. Physicobiol.
巻: in press ページ: in press
in press
Photochem. and Photobiol.
10.1111/php.12771
Biochemistry
巻: 56 ページ: 543-550
10.1021/acs.biochem.6b00999
PLOS ONE.
巻: 11 ページ: e0166820
10.1371/journal.pone.0166820
Nat. Commun.
巻: 7 ページ: 13415
10.1038/ncomms13415
Bioessays
巻: 38 ページ: 1274-1282
10.1002/bies.201600065
巻: 55 ページ: 5790-5797
10.1021/acs.biochem.6b00741
Phys. Chem. Chem. Phys.
巻: 18 ページ: 24729-24736
10.1039/c6cp05240a
Bull. Chem. Soc. Jpn.
巻: 89 ページ: 1416-1424
10.1246/bcsj.20160235
Mol. Sci.
巻: 10 ページ: AA0086
10.3175/molsci.10.A0086
J. Biol. Chem.
巻: 291 ページ: 9883-9893
10.1074/jbc.M116.716498
http://researcher.nitech.ac.jp/html/14_ja.html
http://www.ach.nitech.ac.jp/~physchem/kandori/member/inoue.htm