本研究では物質が有する双安定特性を制御することにより、先端的な物性や機能性を開発することを目的とした。まず、温度誘起の電荷移動型相転移を示すRbMnFeプルシアンブルー類似体に着目し、異種金属ドープが相転移発現温度に影響を及ぼすことを明らかにした。また、この物質が示す電場誘起相転移前後のラマンスペクトルについて理論的解釈を進めるとともに、同物質において第二高調波の光スイッチングを観測した。さらに、室温で双安定性を有する金属酸化物を対象に理論計算を行い、準安定相と安定相の間のエネルギー障壁を外場で制御出来ることを示し、高効率な外場応答型変換物質の合理的設計に向けた重要な知見を得た。
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