緑膿菌は,多剤耐性菌の出現による院内感染が社会問題となっているグラム陰性細菌で,多剤耐性緑膿菌に対する治療法の確立が急がれている.緑膿菌は鉄が不足した状態に陥ると鉄ポルフィリン錯体(ヘム鉄)を鉄分として獲得することを目的として,ヘム鉄獲得蛋白質(HasA)を分泌する。本研究では、HasAがヘムとは異なる形状の合成金属錯体であっても捕捉可能であることを明らかにした。鉄-フタロシアニンや鉄-ジフェニルポルフィリンを結合したHasAが緑膿菌の増殖を阻害することを見出した。また、ガリウムフタロシアニンを結合させたHasAを用いると光照射によって緑膿菌を殺菌できることも明らかにした。
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