今年度は微粒子の内部相分離構造の制御と細胞培養系への展開を検討した。 微粒子の内部相分離構造制御に関しては、ポリ(スチレン-ブロック-イソプレン)からなる微粒子を自己組織化析出法を用いて調整し、四酸化オスミウムによりポリイソプレン相を染色した後、透過型電子顕微鏡および透過型電子顕微鏡で観察トモグラフィー、走査型透過電子顕微鏡などにより構造の観察を行ったところ、サブミクロンサイズの微粒子は粒子サイズによってバルクとは全く異なる相分離構造を形成する事を見いだした。この相分離構造の妥当性を検討するため、セルダイナミクスシミュレーションを行い、実験を再現する結果が得られることを見いだし、論文に報告した。さらに、より多様な構造制御因子を明らかとするために、Cahn-Hilliard方程式を用いた3次元シミュレーションを行い、一軸ラメラ構造から突起状のミクロ相分離構造まで、多様な相分離構造を粒子内に形成できる事を明らかとした。 細胞培養系への展開のために、細胞培養および将来的に移植医療への展開を考え、細胞培養基材として有用なハニカム多孔体を生分解性のポリ乳酸から作製した。ポリ乳酸は耐熱性が100℃以下であり、細胞培養系に必要なオートクレーブ滅菌を行う事が難しい。そこで、ポリ(L-乳酸)とポリ(D-乳酸)の混合溶液からハニカム多孔体を作製することにより、150℃程度まで構造を保持できるハニカム多孔体を作製することに成功した。
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