研究課題
前年度に引き続き、光触媒と吸着剤とを組み合わせた部分酸化反応による化成品合成を行った。今年度は、去年度までのベンゼン/フェノール部分酸化、フェノール/カテコール部分酸化とは別に、最も困難な光触媒部分酸化反応の一つであるトルエンの部分酸化に挑んだ。活性を最適化した市販の二酸化チタン(P25)と、層状ケイ酸塩(マガディアイト)を用いることで、安息香酸を、mmolオーダー、100%の純度で回収することに成功した。本研究では、今まで構造が不明であった同層状ケイ酸塩の構造解析にも成功し、安息香酸の(基質であるトルエンや、同時に生成するベンズアルデヒトなどに対する)吸着選択性の機構に関しても説明できた。一方で、上記のような部分酸化反応には適さなかったが、有機物の完全酸化に対して、従来の材料の活性を遥かに凌ぐ新規二酸化チタン材料の合成にも成功した。また、新規に開発したチタンおよび酸化鉄微粒子含有メソポーラスシリカ触媒などを単独で用いることによっても、シクロヘキサンの部分酸化を、サブmmol~mmolレベルの収量、ほぼ100%の選択性で達成することにも成功した。
1: 当初の計画以上に進展している
通常の光触媒系では、高収量(mmolレベル)かつ高選択的(100%)に有機物の部分酸化による化成品合成を進行させることが困難であたったが、本研究では、酸化チタン光触媒と分子認識吸着剤を組み合わせることで、反応によっては(トルエン/安息香酸など)、高収量かつ高選択的な化成品合成を達成できた。また、新規開発した光触媒だけでも、高収量かつ高選択的な化成品合成を達成した。
本研究で有用性を実証できた、光触媒と分子認識吸着剤との組み合わせによる部分酸化を、さらに多様な化成品合成に応用する。
本研究のハイライトである「高収量かつ高選択的なトルエンの部分酸化」に関する論文執筆(追加実験)および成果発表のため、研究機関の延長を申請した。
追加実験のための消耗品購入、論文執筆のための諸経費(英文校正料など)、成果発表のための渡航費を計上した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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