酸化チタン系光触媒によって有機物を酸化させる光触媒系に、吸着材を組み込むことで、目的の部分酸化物を大容量かつ高選択的に回収できる新規光触媒系を開発した。例えば、光触媒ではもっとも困難な反応の一つであったトルエンからの安息香酸の合成を、酸化チタンに層状ケイ酸塩吸着材(マガディアイト)を組み込んだ系を用いて、mmolレベルの収量、100%の選択性で実現した。 マガディアイトは、吸着材などとして広く研究されてきた天然にも産出する層状ケイ酸塩であるが、構造が解かれていなかったため、物性に関して不明な点も多かった。本研究ではマガディアイトの構造解析にも成功し、光触媒反応中の安息香酸の分離・蓄積機構も明らかとした。 将来的により高性能な系を構築することを目的に、高性能な光触媒、あるいは、吸着材の開発にも取り組んだ。いくつかの材料では、既存の材料の性能を遙かに凌駕する性能が得られ、光触媒と吸着材を組み合わせた本研究のポテンシャルを更に高める成果であった。
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