研究課題
我々は,従来から界面活性剤をはじめとする両親媒性分子を用いて,高い表面積を有するナノポーラス物質,主に無機酸化物を骨格とするものを中心に扱い,吸着剤や触媒・触媒担体などをはじめ様々な応用展開を行ってきた.特に,適切な電気化学プロセスと融合させることにより,組成を金属まで拡張可能し,高品質な金属メソ多孔体を作製可能であることを明らかにした.我々のナノポーラス金属は,骨格が金属のみから形成している電気伝導性の高い多孔体であり,従来の無機酸化物系ナノ(メソ)ポーラス物質とは異なる電気化学系への応用が期待される.本研究では,これらのコンセプトをさらに拡張し,(1)手法の一般化,(2)高次構造制御,(3)ブロトタイプの作製を行い,新しい白金ナノ構造体の合成とその物性の評価を中心に展開する.平成28年度においては,平成27年度まで報告してきた多孔質金属(ナノポーラス金属)を電極として用い,環境負荷低減・省エネルギーのための次世代エネルギーデバイスを開発を目指した.第一段階としては,メタノール酸化反応や酸素還元反応などDMFCデバイスに直結する反応を選択し,これまで申請者により開発されたナノポーラスPtのポテンシャルを調査した.市販の白金触媒と比較しても,大幅な電極活性向上が確認でき,本物質系の有効性を確認した.本物質系は,従来の報告には例を見ない高い秩序性を有しており,特異なメソ構造に起因した今までにない新たな物性の発現が十分に期待できる.細孔壁の金属組成をPt-Pd,Pt-Cu,Pt-Auなどの合金系に展開することで,さらに電極触媒としての能力は格段に向上した.本溶液プロセス法の一般化という意味でも,科学的な価値は大きい.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
Angewandte Chemie International Edition
巻: 55 ページ: 12746-12750
10.1002/anie.201606031
巻: 55 ページ: 10037-10041
10.1002/anie.201603967