研究課題/領域番号 |
26708029
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 武雄 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (90447144)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知能機械 / 知能情報処理デバイス / イオン伝導体 |
研究実績の概要 |
従来までの知能情報処理デバイス・システムの研究において,シナプスやニューロンの模倣は主にトランジスタ,回路設計およびプログラミングが用いられ,基本的にはデジタル回路設計に依存している.このような状況の中,研究代表者は従来までの知能情報処理デ バイスとは構成材料そして動作原理が全面的に異なる“無機シナプス”の現象を報告した(Ohno et al., Nature Mater. 2011).このシナプス模倣動作の特徴は,①電気化学材料中のイオンと原子の移動を利用してシナプス特性をうまく再現できる,②入力電気信号の 演算(判定)とその記憶の両方を同時に行える,③回路設計やプログラミングが必要無いこと,である.本研究課題では研究代表者が発見したイオンと原子の酸化還元反応に基づいて実現する新規な人工シナプス動作デバイスの開発とそれを実装した電気化学材料ベー スの知能情報処理ハードウェアの構築を目指す.当該年度は本研究に必要な揮発性スイッチ特性を得るためのデバイス試作と電気計測実験を行った.その結果,電気信号の入力時間や電圧の大きさに依存して揮発および不揮発の両方の特性を発生させることができることが分かった.また,走査型プローブ顕微鏡を用いて揮発・不揮発性の特性に大きく寄与する金属析出物の直接観察に成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はイオンと原子の酸化還元反応に基づいて動作するデバイスにおいて揮発特性を得ることができ,順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた揮発特性をベースにしたシナプス・ニューロン特性を再現するための単一人工シナプス・ニューロンデバイスの試作を行い,その特性を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題では初年度に新規な成膜装置一式を導入しているが,高品質な膜の形成のためには一部の真空部品の定期的な交換および追加導入が必要であり,したがって次年度での継続的な物品購入が不可欠である.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額分は初年度に導入した成膜装置一式の真空関連の交換・追加部品代として使用する予定である.
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