大動脈の一部が拡張する大動脈瘤は破裂時の致死率が高いため,壁の破壊メカニズムの解明が待たれている.本研究では,血管壁の破壊現象をミクロレベルで観察し,破壊箇所の組織構造を調べて,破壊機序の解明を目指した.ブタ胸大動脈を2軸引張試験下で破壊した結果,局所コラーゲン線維分布量が低い領域で破裂し,コラーゲン線維に沿って亀裂が走った.また,エラスチン分布量や,エラスチン線維とコラーゲン線維の結合は,破壊に影響しなかった.さらに,コラーゲンサブタイプの観察による定量化や,円筒管形状のまま破壊現象を観察する手法の基礎を構築した.
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