研究課題/領域番号 |
26709006
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中村 太郎 中央大学, 理工学部, 教授 (50315644)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 力覚提示装置 / 拡張現実感 / ウェアラブル機器 / 人工筋肉 / 機能性流体 |
研究実績の概要 |
申請者らが開発した高出力空気圧ゴム人工筋肉と磁気粘性流体デバイスで構成された可変粘弾性機構を用いることで、モバイル機能を有しながら高機能・高出力な力覚を提示できる全く新しい「装着型力覚提示デバイス」を開発する。 さらに、センサが多数配置された知能化空間で本デバイスを装着することで、広範囲にわたる移動可能な仮想物体の力覚情報を実3次元空間に提示する。また、複数の装着者どうしでその仮想物体を運ぶ・投げるなど、相互的に力覚情報を共有できるような疑似空間システムを構築する。 現在、人工筋肉とMR流体ブレーキを用いたひじ関節のウェアラブル型力覚提示装置は完成し、これを軽量化することで操作性の高いシステムを構築することに成功した。 本機構は、人工筋肉が配置されることにより、可変剛性の提示範囲の拡大・高応答化や質量感覚/瞬発力の提示が可能となる。特に質量感覚の提示は可変剛性によって生じたポテンシャルエネルギをMRクラッチによって徐々に解放しながら適切な加速度を制御することにより実現可能である。 さらに、プロジェクタを投影した疑似的な拡張現実空間を構築し身体計測装置によって人間の空間内の位置を測定することで弾性体や物体移動、粘性物体の仮想的な提示を行い、その主観的評価を行った。その結果本力覚提示装置およびそのシステムは拡張現実空間内において単なる視覚による効果以上に十分な現実感を得ることに成功した。現在は2次元平面であるが、今後は3次元空間に拡張していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
装置の改良だけにとどまらず、プロジェクタ投影による拡張現実空間を構築することにより、比較的簡易に本提案の効果を検討することができ、さらに主観評価等において十分な結果が得られたため、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後、装着型力覚提示装置の両腕および型部まで拡張する。さらに拡張現実空間システムにこれを適用することにより、より効果的な力覚提示空間を構築する。 いかに具体的な方策について示す。 まず3自由度装着型力覚提示デバイスの設計を行う。本装置は肩・肘・手首部にそれぞれ本年度開発された1自由度デバイスを拡張して設計する。力覚提示量は脚部および体幹で十分に支えられる大きさに限定する。予想より質量が大きくなってしまった場合は、手首部等の特に質量感覚が必要ない部分に本年度開発した1自由度系のデバイスを適用する。さらに、余裕があれば上肢部の設計に基づき、脚部や腰部など、他の部位に関するデバイスの開発も検討する。 次に力覚提示デバイスの知能化空間への適用と多様な力覚情報提示法の確立について検討する。本STEPは2段階に分かれる。まず1自由度での力覚提示方法に基づき、種々の力覚提示について多自由化に対応した提示法を確立する。その後、本学ヒューマンシステム研究室(新妻准教授)に設置されている知能化空間(インテリジェントスペース)内において、多様な力覚情報(可変剛性/粘性/摩擦/質量/瞬発力)の提示に伴う移動可能な仮想物体の基本的な提示法を検討する。 なお、本知能化空間は天井・壁部に多数の位置センサが取り付けられており、数㎜単位での実時間計測が可能である。よって、人間の移動位置と手先動作を外部センサとして認識することができ、この情報を本デバイスに適用することで移動可能な仮想物体の認識を行うことができると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は拡張現実空間システムの構築が想定された金額よりも安価に構築できたため、そのシステムを用いた効果の検証を行った。次年度はより多くの機能を搭載しさらに精密なシステムを構築する。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は双椀4自由度の力覚提示装置を開発するため、次年度使用額についてはこの開発費に充てる。また拡張現実空間システムの構築を精度よく行うため身体計測しシステムの充実化を図る
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