空気圧ゴム人工筋肉と機能性流体で構成された可変粘弾性機構を用いることで、腕部に対して 軽量でありながら機構的に高機能・高出力な力覚を提示できる全く新しい「装着型力覚提示デバイス」を開発する。特に2018年度は、前年度までの4多自由度力覚提示装置の開発を受けて、その基礎特性実験を行った。さらに本装置を用いて、ヘットマウントディスプレイの装着を想定した3次元知能化空間におけるARシステムの構築を行った。 まず開発した力覚提示装置は、肩部3自由度、肘部1自由度の4自由度で構成されている。各関節にはMR流体デバイスと人工筋肉による可変粘弾性システムを搭載し、腕部にかかる重力トルクを保証するために肩部関節には自重補償装置を内蔵している。本装置に対してエンドエフェクタに適切な力覚を提示するために必要な各関節の可変粘弾性の目標値を設定し、フィードフォワードによる可変粘弾性制御系ステムを構築した。実験の結果、3次元空間において設定した剛性値の出力が可能となった。 次に本装置を用いて、知能化空間における3次元ARシステムを構築した。本装置は視覚と力覚の提示により人間の挙動と一致した力覚提示が可能となる。ヘッドマントディスプレイを装着したVR空間での非接地剛性提示実験について、5人の被験者に対する主観評価を行った結果、本装置による力覚提示手法で操作者に剛性の大きさを提示できることが分かった。
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