研究課題
本研究では,ワイドギャップ酸化ガリウム(Ga2O3)系半導体のヘテロ接合の作製,ならびにデバイス応用を目的とする.H27年度は,パルスレーザー堆積法(PLD法)と分子線エピタキシー法(MBE法)を用いて,ヘテロエピタキシーを行い下記の研究成果を得た.1)PLD法でβ-Ga2O3(010)上にγ-Al2O3単結晶薄膜を作製し,そのエピタキシャル配向関係,バンドアラインメントを明らかにした.γ-Al2O3はGa2O3 MOSFETのアモルファスAl2O3堆積時にGa2O3との界面に形成される可能性があり,その界面基礎物性についての知見を得たことになる.2)PLD,MBE法どちらでも結晶多形の一つである準安定γ相において,Spinel基板上にてGa2O3-Al2O3の全率固溶ができることを初めて見いだした.なお,Spinel基板上のγ-Al2O3薄膜は,X線回折にてラウエ振動が確認できるほど良好な結晶性を保った.3)MBE法を用いて,Al組成x=0.22までβ-(AlxGa1-x)2O3薄膜がコヒーレント成長できることを確認した.x=0からx=0.22に伴うバンドギャップ増加は,約0.4 eVであり,ヘテロ接合デバイス動作に充分であると考えている.なお,PLD法では,Al組成増大とともにエピ表面に膜厚より明らかに大きなAl2O3リッチなターゲット由来の結晶粒が見られたが,MBE法では見られず,MBEエピ膜の方がよりデバイス応用に相応しいことが分かった.
3: やや遅れている
以下の理由により研究の進捗が遅れている.・東京工業大学から佐賀大学への異動に伴う,設備移動,特に分子線エピタキシー装置の移動が必要となり,その準備・立上に多くの時間と多額の自己研究費が必要となった.・本研究を深く理解し,研究をサポートしてくれた東京工業大学の学生2名と離れ,佐賀大学の学部学生と研究をゼロから開始した.・異動に伴い設備環境が変わった.
佐賀大学で再び分子線エピタキシー装置を立ち上げ,エピ膜が成長できる状態にして,ヘテロ接合デバイスを目指した研究を再開する.具体的には変調ドープ構造を作製し,二次元電子ガス発言を容量電圧測定から確認する.その後,高電子移動度トランジスタ作製を試みトランジスタ動作を確認し,その特性評価を行う.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of Crystal Growth
巻: 424 ページ: 77-79
10.1016/j.jcrysgro.2015.05.005
巻: 421 ページ: 23-26
10.1016/j.jcrysgro.2015.04.011
http://www.ee.saga-u.ac.jp/pelab/oshima/publication.html