研究課題
本研究の目的は、シリコン量子ドット中の電子スピンを情報の担い手として用いる量子計算の物理の解明、ハードウェアのための基本技術の実現を行うことである。将来的に既存シリコンテクノロジーと量子計算機の融合を目指す。物理としては、シリコン量子ドット構造に特有のスピン緩和要因、バレーやスピンの関与する電子輸送特性を明らかにすることを目指している。技術としては、Si基板やSi/SiGeヘテロ基板を利用した独自の量子ドット構造を作製する。また、Si基板から作製したMOS型新構造量子ドットやSiGeヘテロ基板を利用した新構造シリコン量子ドットのそれぞれに適した電子スピンの操作技術や検出法を開発し、確立する。本年度は、Si基板から作製したMOS型新構造量子ドットにおいて、ゲート電圧によるg因子の制御に成功した。また、SiGeヘテロ基板を利用した新構造シリコン量子ドットにおいてスピン操作を行い、操作の忠実度の向上を共同研究によって得ることができた。将来的なスピン量子ビットの集積に向けて、各量子ビットにおいて独立にスピン共鳴を起こす必要がある。印加磁場とスピン分離を結びつけるg因子を外部制御することによって実現できると考える。本年度、Si基板から作製したMOS型新構造量子ドットにおいて、上部ゲート電圧によるg因子を広範囲に制御できることを実証した。誤り耐性を持つ量子計算機の実現には、高い性能(ゲート操作忠実度)を持つ量子ビットを必要とする。本年度、同位体制御を行ったSiGeヘテロ基板を利用して新構造シリコン量子ドットを作製し、ゲート操作忠実度をランダム化ベンチマークの方法によって評価した。その結果、99.9%以上の操作忠実度を実現した。また、コヒーレンス時間とゲート操作時間の比をさらに向上させるためには、電気的ノイズの抑制が重要になるという新たな知見が得られた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
Japanese Journal of Applied Physics
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http://t2r2.star.titech.ac.jp/cgi-bin/researcherpublicationlist.cgi?q_researcher_content_number=CTT100574609
http://www.quantum.ee.e.titech.ac.jp/