研究課題/領域番号 |
26709028
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
杉浦 慎哉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30394927)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 移動体通信 / 非同期検出 / 大規模アレイ / 差動空間変調 / 協調通信 |
研究実績の概要 |
本研究は、空間変調マルチアンテナ伝送方式をベースとして、巨大な空間自由度を最大限利用可能な高速・高信頼な大規模アレイシステムの符号設計手法を開発することを目的とする。平成28年度は、以下の2項目について研究を実施し、関連する成果を得た。 1.差動符号化大規模アレイ符号化方式の提案 大規模アレイ方式の最大の課題であるパイロットオーバヘッドの問題を根本的に解決するために、送受信機にて伝搬路推定の不要な差動符号化方式を提案した。従来の差動符号化方式はユニタリ行列に基づいているために、アンテナ数の増加とともに送信レートを向上させることが不可能であったが、送信行列の圧縮という新しい基本コンセプトを発想することにより、高レートと非同期検出の両立を実現した。 2.分散ネットワーク協調方式への拡張 集中管理型M-MIMOシステムを拡張し、多数の分散ノードによって構成される分散ネットワーク型M-MIMOシステムを開発した。特に、ノード数、信頼性に対して柔軟かつ、可能な限りロスの少ない分散ネットワークを実現するため、中継ノードのバッファを利用した方式を提案した。集中管理型のMIMOで利用される複数チャネルの同時利用を、分散ネットワークに用いることにより伝搬路状況に応じたロスの少ない性能を実現した。さらに、本質的な性能向上を比較するため、マルコフ連鎖に基づくシステム解析を行い、理論的な裏付けを得た。 これらの成果の一部についてはIEEEジャーナルへの投稿を行っており、既に複数が採択に至っている。現在、次のステップとして提案技術群の総合評価を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度計画の主要なテーマであった(1)大規模差動符号化伝送方式とその非同期検出方式の開発、および(2)分散ネットワーク協調方式への拡張について実施完了しており、当該年度にジャーナルへの投稿および採録を達成できている。これらを踏まえて、平成28年度は当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
提案技術のシステムの総合評価ついて取り組み、これまでに開発した技術についての成果をレベルの高い国際会議やトップジャーナルに投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を効率的・効果的に進めた結果、直接経費を大幅に節約することができた。また、当初想定していた研究計画よりも理論解析が順調に進み、新しい知見が得られたため、追加で研究を行う必要が生じた。以上の理由により、平成29年度に追加実験、論文投稿、国際会議発表等を実施するための費用を補助期間延長により確保する。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果発表のため、北米等で開催される国際会議に参加をする。また、投稿論文の掲載費用およびオープンアクセル費用を計上する。
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