研究課題/領域番号 |
26709042
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (80390590)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 建築環境・設備 / 空気環境 / 粒子状物質 / ライダー |
研究実績の概要 |
本研究では、人の生活に密接に関係する居住空間や工場内など屋内におけるエアロゾルの時空間変動を精緻に捉えるシステムの開発を目的としている。平成26年度は、粒子サイズに対する散乱特性の感度が異なる紫外~可視~近赤外の波長を任意に選択可能なレーザーを導入した。レーザーの出力や設定した波長の安定性能について調査し、ライダーシステムで使用する約20波長を選定した。さらに、一つのシステムで各波長のレーザーが射出できる特注のレーザーラインミラーを用いて、レーザーを任意の方向に射出できる装置を組み立てた。
また、多波長データを使用して、領域ごとのエアロゾル粒径分布を導出するためのアルゴリズムを考案し、シミュレーション研究よりその有用性を検証した。加えて、既存のシステムを利用した多重散乱ライダーや水蒸気ライダーと直接観測の比較実験を行い、ライダーによる粒径分布の導出に関わる課題の抽出を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、本課題のシステム開発の主要なパートである、紫外~近赤外に至る波長範囲を任意に選択できるレーザーを組み入れた射出系を構築できた。また、領域ごとのエアロゾル粒径分布を導出するためのアルゴリズム開発を進めたほか、既存のライダーを用いた試験観測より、エアロゾル粒径分布の導出に関わる課題を整理した。以上より、ハード・ソフトの両面とも、ほぼ当初の計画どおり進行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、望遠鏡と光検出器で構成する受光系の開発に注力する。とりわけ、センチメートル単位の高い空間分解能での多波長同時観測を実現するアレイ型光電子増倍管を世界に先駆けて導入する。また、平成26年度に組み上げた射出系と受光系を結合して、多波長ライダー信号の取得試験を行う。さらに、様々な粒子特性の条件を想定したシミュレーション研究を継続して、その結果をシステム開発にフィードバックする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、高性能のアレイ型光電子増倍管を備えた光検出器の開発についての情報を得た。本研究課題で開発するシステムにこの検出器を採用することで、空間分解能が飛躍的に向上することが期待される。そのため、検出器の開発が完了する平成27年度に、世界に先駆けて検出器(約470万)を導入すべく、平成26年度の備品購入を減らし次年度に繰り越した。平成26年度に導入予定だった備品の一部に、既存の設備を解体して使用したり、他研究機関からの貸し出し装置を活用したりすることで費用を抑えたため、開発計画には支障はない。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年9月以降に新しい検出器が納入可能となるため、その購入費の一部に繰り越し金を充てる。
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