研究課題/領域番号 |
26709044
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
海野 聡 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (00568157)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 中国 / 古代建築史 / 東アジア |
研究実績の概要 |
本年度は2年度目にあたり、資料集作業として、国府に関する発掘遺構の収集に一応の目途をつけ、国分寺に関する発掘遺構の事例収集の作業に取り掛かった。収集に当たっては、大学院生・大学生を研究アシスタントとして雇用した。 また調査は国内・海外ともに精力的に活動したが、特に陝西省・山西省・浙江省における中国古代建築の調査をおこなった。薛村三聖廟献殿・禹王廟献殿・韓城文廟(1371 年)・韓城城隍廟(1571年)・韓城普照寺(1316年)・狭西元代建築博物館・永楽宮・広仁王廟大殿などである。これらの調査においては、日本の古代建築との意匠的・構造的な共通点と差異に着目し、比較材料の収集・整理を行った。国内では、兵庫県内の寺院建築調査をおこなった。また海外の研究者との交流として、2016年度の中国における国際会議の打合せを綿密に行い、これにともなって、日欧の建築比較という助言と視点を得た。 成果の公開については、出版助成を活用し、本科研の成果を一部含む、『奈良時代建築の造営体制と維持管理』(吉川弘文館、2015年11月)を刊行し、成果の公開に努めた。奈良時代の宮都や中央大寺・国分寺・地方官衙などの建物はいかに造営、維持管理されてきたのかという点に着目し、文献史料を通して、建築史に維持管理という新概念を導入した。このほか、各種の研究論文、日本建築学会計画系論文集などを通じて、古代建築に関する論考を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東アジアの中でも特に重要な中国の調査を行うことができ、また成果の一部を学術誌や学術書によって公開することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度と同じく、発掘遺構に関する資料収集を継続する。また郡の政庁域に関する資料を参考に、その建築的な特徴を検討したい。そして東アジアの古建築や日本の近世以前の建造物の調査を通じて、日本の古代建築に通じうる技法や特徴の抽出に努めたい。 なお学術書の刊行により、成果をまとめ、公開することができ、報告書の内容を一部、充足できたため、報告書以外の方法での成果の公開方法(学科発表など)に重点を置いた研究成果の方法にシフトする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査旅費としては少額であり、次年度に改めて調査に行った方が効果的であると判断したため。
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次年度使用額の使用計画 |
建築史的見地に基づく現地調査に使用する。
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