研究課題
本研究の目的は、圧電性(電気的エネルギーと機械的エネルギーの変換機能)を示す強誘電体について、これまで薄膜や微粒子等のナノスケール構造で分極を減少させると考えられてきた反電場を積極的に利用して、新奇な圧電メカニズムを創成するものである。平成26年度は主に項目「ナノテンプレートを利用したPZTナノロッドの成長とサイズ制御」について取り組み、特に、島状アレイを有するナノテンプレートの作製に注力した。まず、ナノインプリント法で樹脂の柱状アレイを形成し、これをマスクとして基板をエッチングすることで島状アレイを有するナノテンプレート基板の作製を試みた。光硬化型樹脂の柱状アレイの作製条件(塗布条件、露光条件)を系統的に明らかにし、SrTiO3基板上に高さ約80nmの樹脂の柱状構造を得た。その後、Arイオンエッチングの条件を最適化し、最終的に高さ10nm以下の島状アレイを有するナノテンプレート基板が作製できた。しかし本手法の課題として、マスクとして用いる樹脂が基板より早くエッチングされるため島状アレイの高さを更に増加させるためにはより高い樹脂柱状構造を作製する必要があるほか、エッチングによる基板表面のダメージの回復に高温でのアニールが必要であることが分かった。そこでエッチングを用いずにナノテンプレートを作製する手法として、光硬化型樹脂にPZTのCSD原料を混合し、これをナノインプリントし焼成・結晶化することでPZTの島状アレイを合成する方法を検討した。これまでに混合溶液のナノインプリントに成功し、PZTを結晶化させる焼成条件の最適化を進めている。H27年度前半に、作製したナノテンプレート上にレーザー堆積法でPZTナノロッドを成長させる予定である。
3: やや遅れている
昨年度は主に、項目「ナノテンプレートを利用したPZTナノロッドの成長とサイズ制御」について取り組み、特にナノテンプレートの作製に注力した。その結果、当初の計画よりダメージの少ない高品質なナノテンプレートの作製に目処がついたが、一方でナノロッドの成長には十分に注力することができなかった。
上記のように、ダメージの少ない高品質なナノテンプレートの作製に目処がついたため、今後は計画に従って作製したナノテンプレート上にレーザー堆積法でPZTナノロッドを成長させる予定である。
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Applied Physics Letters
巻: 106 ページ: 032902-1, -5
10.1063/1.4906295
巻: 106 ページ: 042905-1, -5
10.1063/1.4906861