研究課題
当研究期間においては、前年度に引き続き、発光中心を含有する酸化物ガラスを溶融急冷法により作製し、多様な解析手法を用いて構造、および、発光特性の評価を実施した。本年度は、酸化物ガラス中にドープする発光中心として、ns2型発光中心の代表的なカチオンであるSn2+を選択した。このSn2+を含有する酸化物ガラスの構造、物性、および発光特性に関する調査を主としておこなった。大気中、あるいは、不活性雰囲気中で作製した酸化物ガラスにおける発光中心の価数に注目し、材料探索を行った。その結果、亜鉛リン酸塩ガラス中ではほぼ100%がSnの2価であるのに対して、ホウ酸塩ガラスでは、不活性雰囲気中で作製したにも関わらず、一部が酸化反応を起こして4価に変わっていることを見出した。また、作製条件により、徐冷と急冷で作製するガラスの構造、および、発光特性が異なることを見出した。その結果、急冷して作製したガラスにおいて、より液体に近い乱雑な構造で、蛍光体としての発光特性も優れることを見出した。原因としては、発光中心が徐冷中に凝集し、局所的な濃度消光が生じていることが予想される。このような知見は、発光特性を示すガラス部材の実用的な開発にとって重要であると考えられる。一方で、ガラスの弾性特性を評価することにより、ガラスネットワークと物性との相関に関する研究をスタートさせた。弾性特性は、単にガラス中のばね定数としてだけでなく、発光材料のホストとしても、重要なパラメータであることを見出した。
2: おおむね順調に進展している
Snの価数に関する論文を数報投稿、受理されている。また、修士学生が、主著で論文を執筆する補助・指導をおこない、教育面でも一定の成果を上げることができた。
Sn以外の発光中心に関しても比較を行う事で、より深く科学を検討できると考えられる。また、他分野の先生方との協力を行い、幅広い視点から材料を検討する必要があると思われる。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 10件、 招待講演 4件)
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