研究課題/領域番号 |
26709057
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
岡田 純平 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (90373282)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シリコン / アモルファス / 過冷却液体 / 浮遊法 / 急冷凍結 |
研究実績の概要 |
アモルファスシリコン(a-Si)は、これまで、蒸着やシランを用いた気相成長によって作製されてきたが、ガラスとは異なり、液体から直接バルク状のa-Siを作ることは不可能であった。近年、過冷却状態に着目した理論提案がなされ、過冷却液体Siの急冷によるバルクa-Si作製の可能性が開けてきた。我々は、独自に開発を進めてきた静電浮遊法を用いることにより、液体シリコン(融点1683K)を大きく過冷させると、液相からアモルファス相を作製できる可能性を見出した。本研究の目的は、過冷却液体を用いてバルクa-Siを創製することである。 現時点では、過冷却液体Siの急冷実験によるアモルファスSiは得られていないが、結晶化ガラスを想起させるナノスケール微細構造の形成を確認することができており、アモルファスSiが一度形成された可能性を想定している。ナノスケール微細構造の形成過程の考察から、急冷によって潜熱を試料全体から奪うことによりa-SIが得られると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時に想定していた、アモルファスSiを作製するための過冷却液体Siの急冷方法に改善余地のあることが判明した。そこで、試料全体から潜熱を奪う事が可能な、ハンマークエンチと呼ばれる急冷装置を作製する必要が生じている。ハンマークエンチ型の急冷装置の作製は順調に進んでおり、今年度半ばから試料作製に用いられる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度半ばに完成予定の、ハンマークエンチ型急冷装置を用いれば、試料全体を急冷する事ができるので、過冷却液体Siを用いたアモルファスSiの作製に向けて前進できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
過冷却液体Siを急冷凍結してa-Siを得るためには、現在の静電浮遊溶解法を用いた急冷装置において使用している急冷方法(回転円盤に液滴を落下させる手法)から、ハンマークエンチ(液滴を両側から銅円盤で挟み込む手法)へ変更する必要が生じたため、急冷手法の改造に必要と考えられる費用を想定し、基金分を繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
ハンマークエンチ型の急冷が可能となるように現在の装置を改造する予定である。
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