研究課題/領域番号 |
26709062
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
清水 一憲 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70402500)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バイオマイクロデバイス / 骨格筋細胞 / 電気刺激 / 筋萎縮 |
研究実績の概要 |
収縮力測定可能な骨格筋組織チップの創製と筋萎縮モデルへの応用を目的として、2014年度は主に(1)骨格筋組織チップと周辺技術の開発に関して研究を実施した。また当初の予定を前倒しして(2)筋萎縮モデルチップの開発に関しても一部研究を進めた。具体的には、以下の項目を実施した。 (1.1)デバイス設計・製作:まずマイクロ流体システムを応用したチップの開発を進めたが、再現性のよい筋組織培養や多条件化などが困難であったため、培地灌流のないバッチ方式の骨格筋組織チップ開発を進め、作製に成功した。(1.2.1)iPS細胞からの骨格筋細胞分化誘導:myoD導入ヒトiPS細胞の培養技術を習得した。しかし十分に成熟した収縮する筋管細胞を効率よく得られていないため、さらなる培養プロセスの最適化が必要である。次年度以降は当初の想定していた対応策に従い、ヒト初代筋芽細胞の利用も並行して進める。(1.3)培養制御・変位計測システム:実体顕微鏡を中心として温度制御下で筋組織の収縮を観察するシステムを完成させた。取得データからLabVIEWを用いて、デバイスの変位を計測し収縮力を算出することに成功した。またデバイス上で培養した筋組織に対して、弛緩刺激を負荷するためのシステム開発にも成功した。(2.1)筋萎縮発症:既報に従いデキサメタゾン、TNFαを用いて筋萎縮の誘導を行い、平面培養したC2C12筋管細胞の幅が小さくなることを確認した。(2.3)筋萎縮モデルチップの有用性実証:チップを用いた新規筋萎縮予防・治療薬探索ため、筋管細胞に対して機能性ペプチドの導入を試み、細胞内に蛍光標識ペプチドが導入されることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書記載の研究実施計画に従い、研究を進めた。マイクロデバイスの作製プロセスを完成させ、iPS細胞から骨格筋細胞分化誘導法を習得した。また培養制御・変位計測システムを構築した。さらに当初の計画を一部前倒しし、筋萎縮モデル開発に関しても研究を進めた。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い、(1.2.2)開発したチップを用いてヒト初代骨格筋細胞あるいはヒトiPS細胞由来骨格筋細胞を用いて骨格筋組織を構築する。それらの特性をmRNAやタンパク質発現量、収縮力測定により明らかにする。(2.1)これまでに報告のある筋萎縮誘導法を参考に、電気刺激、弛緩刺激、薬剤刺激などで筋萎縮を発症させる。また、(2.2)チップを改良し、多条件化を行う。さらに(2.3)に関して、抗筋萎縮ペプチド探索も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究のスムーズな進捗のため、購入予定装置を変更した。慎重に機種選定を行ったため今年度の購入を見送り次年度購入することとし、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度分として請求した研究費と合わせて、計画通り適切に使用する。
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