研究課題/領域番号 |
26709063
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
青井 議輝 広島大学, サステナブル・ディベロップメント実践研究センター, 特任講師 (40386636)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分離培養 / ナノファブリケーション / マイクロデバイス / 微生物 / 環境微生物 / 培養 |
研究実績の概要 |
①微生物を捕まえる罠 本研究で開発および効果を実証するデバイスは、培地が充填されている培養チャンバーとそこから外部につながる細い管によって構成されている。この構造により複数の種類の微生物が自動的に分離されてチャンバー内では単一種類のみ増殖することが想定できる。本研究ではまずプロトタイプを設計しその性能とコンセプトを確認することを目的とした。ナノチャンネル(ナノチャンネル、幅:900 nm - 5 um, 高さ:750 nm - 1 umに制御)は電子線リソグラフィーによって成型し、それ以外の部分は従来のフォトリソグラフィー技術を用いて作成、全体はPDMSとカバーグラスを接着する形で成型した(カバーグラスとの接着面にナノ・マイクロ構造体が成型されている)。さらに、外部環境の替わりに、高さ数マイクロメートル、幅100マイクロメートルの流路を作成し、そこに環境微生物などのサンプルをロードした(ローディングチャンネル)。本年度は基質の充填方法や滅菌方法などを確立し、モデル微生物(大腸菌)を用いて本デバイスでの培養条件を確定した。
②ピコリットル培養 微小ゲル粒子の簡易的な作成方法を確立することを目的に複数の手法を検討した。現段階では最も簡便な撹拌法を確立した。ただし、ゲル粒子の均一性という観点ではまだ課題が残されている。一方で、油相中に添加する界面活性剤の種類を慎重に検討する必要性があることが判明した。ゲル粒子内部での微生物細胞は順調に増殖し、顕微鏡などでも観察が十分に可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究全体の目標は、「微生物を捕まえる罠」、および「ピコリットル培養」という新しいコンセプトを創成することである。初年度(本年度)は、そのベースとなる手法や実験操作の確立およびデバイスなどの作成方法の確立を目標としている。想定外の問題も発生したが(ゲル微粒子の均一性の問題など)全体としては、ほぼ計画通り順調に進んでいる(または一部当初の計画より前進した)ため上記の通りに評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究の全体計画は以下の内容(項目)から構成されている。①微生物を捕まえる罠:1)実験プロトコルの確立、手法の確立、デバイスの構造の決定、2)モデル微生物を用いた培養およびモデル微生物の混合培養系からの分離の実証、3)環境微生物を用いた分離培養の実証および分離株の獲得、従来法との比較評価。②ピコリットル培養:)実験プロトコルの確立、手法の確立、デバイスの構造の決定、2)モデル微生物を用いた培養およびモデル微生物の混合培養系からの分離の実証である。いずれの検討課題においても項目1)は主に初年度、2)および3)はH27年度以降に進めることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験トライアル数が当初想定していたレベルより大幅に少なく済んだため、当該年度での使用額が当初の計画より少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降に繰り越した分を次年度以降の消耗品(分析数やトライアル数を当初の計画より増加する)、および人件費として使用する。
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