研究課題/領域番号 |
26709064
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
杉浦 慎治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 創薬基盤研究部門, 主任研究員 (10399496)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体材料 / 細胞 / バイオ関連機器 |
研究実績の概要 |
昨年度までに、本細胞分離方法に適したクリック架橋型光開裂性架橋剤の合成を行い、光分解性ゲルの調製条件および光照射条件に関する検討を行い論文投稿、特許出願を行った。本年度において、この論文が受理され、特許については、国内および外国出願を行った。また、本細胞分離法に適した培養容器の開発を行い、特許出願した。さらに、本細胞分離方法について自動化機器メーカー企業からの引きあいがあり、当該企業との共同研究において自動化細胞分離装置の開発を行った。また、蛍光イメージングに基づく細胞分離の原理検証実験にも着手している。 また、細胞分離の分離精度を検討するため、昨年度開発したクリック架橋型光開裂性架橋剤を用いて、正常細胞とがん細胞の混合培養系からの細胞分離を試みた。がん細胞の浸潤能を指標として細胞分離を行うための分離プロトコルについて検討した。この際に、筑波大学の臨床医学系の松井講師の開発した正常細胞・がん細胞共培養系をモデル培養系として分離プロトコルの開発を行った。この共培養系では、正常細胞とがん細胞で異なる蛍光発現ベクターを遺伝子導入し、蛍光観察により正常細胞(緑:RGM-GFP)とがん細胞(赤:RGK-KO)を容易に判別できるようになっている。精度の高い細胞分離を実現するためには、光照射条件の検討以外に、ゲルが溶解した領域からの細胞を回収するためのピペッティング精度が重要であることが判明した。この点については自動化細胞分離装置による精度の高いピペッティングにより解決していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度はモデル細胞系からの細胞分離方法をほぼ確立した。さらに、当初の計画では来年度に着手する予定であった蛍光イメージング法と組み合わせた細胞分離についても既に着手している。加えて企業との共同開発による自動化細胞分離装置の開発も進んでおり、当初の計画以上に研究が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
順調に研究が進展しており、研究計画を前倒して研究を進める。来年度は、当初の計画にはなかった発癌モデルマウス由来の腫瘍組織からの細胞分離も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では博士研究員の人件費を専従率100%で計上していた。適任者が見つからなかったため、前年度まで別プロジェクトに専従していた博士研究員を専従率50%で雇用し、本研究の推進に従事させた。事実上、この差額分が次年度への繰り越しとなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降の人件費として使用し、研究の推進のために使用していく。
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