前年度までに製作した現場計測用の小型OTDR装置を調整し、また光学系の構成を見直すことでpH計測に必要な光シグナルの強度を改善することができ、安定して計測を実施できる光学系を構築することができた。それによってヘテロコア光ファイバを用いた多点計測pHセンサについて、一度に4点の計測が可能な光学系を実現できた。海中に暴露される光ファイバケーブルの全長は約90mであり、そこに約23m毎にヘテロコア構造を有するpH計測部が配置されている。安定したpH計測が可能な色素について、複数の色素を用いて検討を行った結果、ニュートラルレッドが最も安定してpH計測が可能であることが明らかとなった。そこで4箇所すべてのヘテロコア部にニュートラルレッドを固定したpHセンサを製作し、実験室環境において試験を行った結果、各計測点においてpH変化に伴う色素の色変化を捉えることが可能であることを確認できた。また、海中での展開に向けて、光ファイバセンサ用ボビン海中巻取り装置を中核とした、光ファイバ展張システムを設計・製作した。前年度までに製作済みの現場計測用光ファイバケーブル、今年度製作・評価した多点計測光ファイバセンサと光ファイバ展張システムを組み合わせることで、10m毎に4点の計測点を備えた全長50mの多点pH計測が可能なシステムを構築できる。また、単点計測用pHセンサについても、最長10mのpHセンサ用光ファイバ8芯を貫通させたフィードスルー耐圧コネクタを製作した。今後、このコネクタを現場計測用の光学系と組み合わせることで、市販のpH計測用色素パッチなどを用いた単点計測方式によって、例えば2m毎4点の高い空間分解能でのpH計測が可能になる。
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