研究実績の概要 |
本研究では、大脳一次視覚野において由来する幹細胞を同一にする神経細胞群で機能発達の仕組みを解明する。その際、二光子顕微鏡による生体内でのCa2+神経活動記録と脳スライス標本下の神経細胞群からの多電極パッチクランプ記録により、クローン細胞間のシナプス伝達と可塑性誘導、およびそれに対する投射を調べ、機能構造の発達過程を明らかにする。本年度も、幼若期と成体での機能類似性がどのように変化するのかを明らかにするために、機能と細胞位置の数値解析および得られた情報の評価を行った。 研究計画に立案した仮説1)『幼若期と成熟期のクローン細胞群で機能の類似性の違い』について、引き続き検討した。蛍光タンパク標識されたクローン細胞群について、二光子顕微鏡観察で得たデータを解析したところ、幼若期と成体のクローン細胞群で方位選択性に違いがあり、幼若期から成熟期にかけて機能の類似性が下がることがわかった。さらに3次元的位置解析を進めたところ、クローン細胞群の中でも、幼若期に大脳皮質内で30um半径の円柱領域で縦方向に並んだクローン細胞の機能が特に似ていることが明らかになった。発達に従って、その様な縦状に並ぶ機能的類似性は緩く解消されることがわかった。縦方向の機能領域の検討ののち、横方向並んだクローン細胞群、環状領域にあるクローン細胞群の方位選択性の類似度も検討したところ、縦方向に比べて類似度の違いは見られなかった。今後も、何故、縦方向に位置する幼若期のクローン細胞同士の機能類似性が特に高く、成体では類似性が下がるのかを追求する。また、論文投稿の準備を行っている。 現在、任期付きポジションに就いており、自身が責任著者としての論文執筆を優先せざるを得なかった(Yamamoto / *Ohtsuki, 投稿中)。本研究課題に関する論文は研究期間内に発表できなかったが、時間が掛かっても必ず発表に至らせる。
|