研究課題/領域番号 |
26710004
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
和氣 弘明 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90455220)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 髄鞘 / オリゴデンドロサイト / 神経活動依存性 / 2光子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
高次脳機能に障害を呈する精神疾患の病態解明・治療法の開発が現代社会で早急に求められている。イメージング技術の革新からグリア細胞が神経回路活動の恒常性を維持し、その機能の破綻によって精神疾患を引き起こすことが報告されてきている。グリア細胞の中でもオリゴデンドロサイトは髄鞘を形成し神経伝導速度を制御し、この機能によって活動電位の到達時間を制御し、シナプスの発火タイミングを調節し、情報伝達を効率化する役割を持つ。髄鞘化された軸索で構成される白質はヒトのfMRIを用いた研究によって発達期および学習時に信号が変化することが知られている(Scholz et al., Nat Neurosci, 2009)。そこで今回はこの髄鞘の恒常性が損なわれているモデルマウス(PLP-tg)を用いて髄鞘化の学習時における神経回路活動への寄与を検証した。PLP-tgはこれまで2ヶ月齢においてわずかな神経伝導速度の低下を認めることが知られており、さらに行動実験によって統合失調様の表現系を持つことが知られている。私たちはPLP-tgマウスの運動学習が損なわれていることを明らかにし、その原因となるような神経回路基盤を示すために、このマウスの神経細胞の発火パターンをウィルスによるカルシウム感受性蛍光タンパク質の発現と2光子顕微鏡を組み合わせることによって可視化した。2光子顕微鏡下で学習行動を行わせることで学習時の神経細胞の発火パターンを正常群と比較した結果、正常に比してPLP-tgは自発活動の増加を認めた。この自発活動の増加は活動電位の伝搬の時間的分散によって生じる。さらに麻酔下では、自発活動の増加は認めないことから、行動依存的に生じる自発活動の増加であることが明らかとなった。さらに光遺伝学によるオプトジェネティックス法を用いて、この時間的分散を補正すると損なわれた運動学習効率が回復することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は現在順調に進捗し、ほぼ完了している
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今後の研究の推進方策 |
多発性硬化症または加齢に代表されるような脱髄を伴う疾患において認知機能の低下は重要な症候であり、統合失調症では髄鞘関連遺伝子の異常が検出されている。認知機能の低下および精神症状が活動電位依存性の髄鞘化の維持機能の破綻によって起こると考える。そこで課題時に人為的に神経活動に光操作でシナプス前細胞および後細胞に同期性をもたせることで、神経活動電位依存性の髄鞘化を介して、神経回路を強化することにより認知機能・精神症状が制御できるか実証する。つまり逆に精神疾患モデルマウスで神経細胞活動を、チャネルロドプシンを用いて認知運動学習下で同期させることで症状の改善および精神疾患、加齢による認知機能の制御を行う。
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