研究課題
前年度までに構築した前立腺癌高特異度糖鎖サブタイプマーカーPSA G-indexについて、独立症例セットを用いたブラインド診断能検証試験、Gleasonスコアとの相関解析、および組織中の標的糖鎖構造発現解析を実施した。現行のPSA検査において高い疑陽性率が問題となっているグレーゾーン(PSA 4-10 ng/ml)に該当する前立腺癌15症例、前立腺肥大症(BPH)15症例を含む30サンプルをランダマイズし、前年度までに確立したMass spectrometric oxonium ion monitoring法による分析、PSA G-indexによる診断を実施した結果、全例が病理診断による確定診断結果と一致した。同症例群を現行のPSA検査、PSA f/T比検査によって診断した結果をROC曲線で評価すると、曲線下面積(AUC)がそれぞれ0.50、0.60となり、PSA G-indexの1.00はそれらより遥かに診断精度が高いことを示す結果となった。また、Gleasonスコア6~9の前立腺癌患者77症例の血清を用いてPSA G-indexの構築に使用した2糖鎖構造の付加頻度を調べたところ、Jonckheere-Terpstra テストにおいてp = 3.34 × 10-8 、p = 2.56 × 10-9の有意差をもって両者が強い相関を示すことが分かった。さらに、これら2構造の部分構造を特異的に認識するレクチン2種を用いて152症例からなる組織アレイレクチン染色を行った結果、正常前立腺組織10例とBPH組織31例からなるコントロール群と比して、前立腺癌組織111例において、上記2種レクチン強染色例の割合が9.00、2.24倍高いことが示された。本研究が達成されることで、擬陽性の排除による患者の肉体的精神的苦痛の低減、的確で迅速な治療介入による治療成績の向上が期待できる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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