本研究は独自の高感度糖鎖構造質量分析技術を利用して高特異度腫瘍マーカーを開発することを目的とした。7割近い偽陽性を示すPSA値4-10 ng/mlの前立腺肥大(BPH)患者、前立腺癌患者血清サンプルを対象とし、67種類のPSA上糖鎖構造を定量可能な分析技術を確立した。BPH患者15例、前立腺癌患者15例を用いた分析結果より二種の癌高特異的糖鎖構造を同定することに成功し、これらを用いたロジスティック回帰診断式(PSA G-index)を構築した。上記と同数の独立検体を用いてブラインドのPSA G-index診断試験を行った結果PSAでは区別不可能なこれら全例を正しい疾患群に識別することができた。
|