研究実績の概要 |
平成26年度は、研究計画に従いながら以下3点について研究を進めた。 1. ヒト抗原受容体遺伝子(TCRα鎖β鎖およびBCR重鎖軽鎖)の増幅プライマーに関して検討を進め、凍結病理標本などから抽出したtotal RNAを鋳型としたシーケンス解析を行うことができるように、各種実験段階における条件検討を進めた。その結果、凍結病理標本を用いた抗原受容体の次世代シーケンス解析に関する実験プロトコールが完成した。 2. 胃がんを中心として肺がんや肝がんなどを含むさまざまなヒトがん症例などを対象として、抗原受容体シーケンスを行うためのサンプル採取を遂行した。その結果、総数約300シーケンス・アッセイ以上の症例数を集めることができた。 3. 新鮮組織標本からTh, Treg, NKTあるいはPlasmacyteなどといった特異的免疫関連細胞のみを単離する実験系を整備するために、1細胞単離装置を用いながら蛍光標識された特定の細胞を単離することができるような実験プロトコールを検討し決定した。 4. 蒐集されたサンプルの一部を用いて、抗原受容体遺伝子の次世代シーケンス解読を順次進めた。また同時に、抗原受容体遺伝子配列におけるCDR1ないしCDR3領域の特定アルゴリズムあるいはV-(D)-J再構成部位の特定アルゴリズムに関して、バイオインフォマティクス解析パイプラインの検討を進めた。 平成26年度の研究実績によって、腫瘍病理組織中における浸潤リンパ球の抗原受容体次世代シーケンス解析のプロトコールが完成された。また同時にサンプル蒐集も順調に進められている。
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