本研究の目的は、次世代シーケンスによってがん浸潤リンパ球の抗原受容体レパートリを網羅的に解読し、ゲノミクス的観点から腫瘍免疫の全体像を解明することであった。さらに、がん組織特異的に存在する抗原受容体配列を基盤として、新規抗がん抗体の開発を試みるなど、新しいがん治療戦略の基盤を作ることをも目的とした。以下の成果が得られた。 (1) 臨床がん症例の抗原受容体次世代シーケンス・プロトコールが樹立された。(2) がん組織中にドミナントに存在するT細胞受容体や免疫グロブリンを多数同定できた。(3) 人工発現系を用いて再構築したがん特異的免疫グロブリン分子について機能的スクリーニングを進めることができた。
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