研究課題/領域番号 |
26710015
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
柿澤 茂行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10588669)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ゲノム / 細菌 |
研究実績の概要 |
難培養性細菌(難培養細菌・未培養細菌)と呼ばれる細菌は、培養が不可能もしくは非常に困難な細菌である。難培養性細菌は決して珍しいものではなく、近年のメタゲノム解析などの台頭により、環境中の微生物の99%以上は培養できないことが明らかとなり、これにより新たな微生物像が浮き彫りとなった。これらの難培養性細菌は、その全ゲノム配列を決めることで多くの知見が得られる一方で、遺伝子のノックアウトや過剰発現ができないという技術的な欠陥のため、その遺伝子の機能についての確実な証明はほとんどされていないのが現状である。 本研究は、近年開発された「全ゲノム操作技術」を応用することで、難培養細菌の培養および遺伝子操作系の開発を目指し、難培養細菌の持つ多様な機能を解明することを目的とする。これには、全ゲノム操作、全ゲノムクローニング、全ゲノム移植などが可能でかつ培養可能な細菌であるマイコプラズマ(Mycoplasma capricolum)を用いる。 本年度はまず、酵母内におけるゲノム編集を用いたゲノム融合の手法が明らかとなったため、これを用いた再現実験および追加実験を行った。酵母におけるゲノム編集は極めて有用な手法であり、より簡便に酵母細胞内のDNA配列を編集することができた。加えて、酵母においてクローニングしたゲノムのインサートを検証した。用いたベクターは、YAC(酵母人工染色体)ベクターに、マイコプラズマ用の耐性マーカーを加え、かつ、マイコプラズマ細胞内での複製に必須なOriC領域を保持したものと、OriC領域を持たないものの2種類を作成した。その結果、インサートには変異が少なく、ほぼそのままの形でクローニング出来ていることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母内におけるゲノム編集を用いたゲノム融合の手法を用いることで、より効率的にクローニングしたインサート配列を改変できることが明らかとなった。これまでの手法に加え、より強力な遺伝子改変ツールとして利用可能であると思われた。加えて、酵母においてクローニングしたインサート配列の確認を行ったところ変異が少なく、ほぼそのままの形でクローニング出来ていることが分かり、クローニングしたDNA断片をそのまま次の解析に用いることが可能であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き研究を推進し、ゲノムクローニング系の確立とその自由な改変を目指す。これにより大きなゲノム断片を自在に操作できる系を確立する。酵母の細胞融合とその後の相同組換えによって融合ゲノムを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
酵母の細胞内におけるゲノムの改変および細胞融合に関する手法について新たな情報が得られ、一部追加で調査すべき必要性が生じたため。
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