本研究では、リン酸化および脱リン酸化酵素によるシュゴシンの染色体局在化機構を明らかにし、真核生物が染色体分配を正確に行う仕組みを理解することを目的とする。本研究では、(1)Bub1キナーゼによるヒストンH2Aのリン酸化(Bub1経路)、(2)未知のキナーゼによるSgo2のリン酸化(Sgo2経路)、および(3)Cdc2キナーゼとDis2ホスファターゼによる未知の基質のリン酸化(CDK-PP1経路)の3つの制御機構を想定して研究を行っている。当該年度においては、平成29年度までに見出した、ヒストンH2Aの119番目のリジンのマロニル化が、Bub1キナーゼによるヒストンH2Aの認識を阻害し、その結果、Bub1キナーゼによるヒストンH2Aのリン酸化およびシュゴシンの染色体局在化を阻害するという、新たな知見をまとめた論文が受理された(Ishiguro T et al. Sci. Rep. 2018、川島は責任著者)。また、平成29年度までに見出した、静止期または低グルコース環境におけるシュゴシン(分裂酵母Sgo2)の染色体局在にはBub1およびヒストンH2Aのリン酸化が必要ない、という新たな知見をまとめた論文を投稿し、受理された(Kobayashi Y and Kawashima SA. Sci. Rep. 2018、川島は責任著者)。
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