研究課題
自然免疫は微生物の感染に対する生体の初期防御反応である。微生物の構成成分はToll-like receptors (TLRs),NOD-like receptors (NLRs),RIG-I-like receptors (RLRs)などの病原体センサーである受容体によって認識され様々な免疫応答を引き起こす。これら受容体は,様々な病気の治療薬のターゲットとして注目されている。本申請課題では,病原体センサーによるリガンド認識機構やシグナル伝達機構を主にX線結晶構造解析により明らかにすることを目的として,主に以下の2つのグループに焦点を当てて研究を進める。1.Toll-like receptor (TLRs) (エンドトキシンショック,抗ウイルス薬,ワクチン)2.NOD-like receptor (NLRs) (クローン病,アレルギー)本年度は、1に関してはTLR7の結晶構造決定に成功した。TLR7と合成リガンド複合体の構造、TLR7と一本鎖RNAの複合体の結晶構造から、TLR7のリガンド認識機構と活性化機構が明らかになった。2に関しては、NOD2受容体の不活性化型構造の結晶構造解析に成功した。これにより、NOD2の不活性化を維持するためのドメイン間の相互作用や、疾患変異との関連を明らかにすることができた。引き続き活性化状態を再構成する条件を検討し、活性化状態の構造解析に取り組む予定である。
2: おおむね順調に進展している
TLR7およびNOD2の構造解析に成功した。
引き続きTLR7と各種リガンドとの複合体の構造解析、NLRの活性化型の構造解析に取り組む。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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