研究課題/領域番号 |
26711017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 謙太郎 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40378609)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シロイヌナズナ / 細胞核 / 核膜 / 遺伝学 / 核運動 / ミオシン |
研究実績の概要 |
細胞核の運動の分子機構を明らかにする目的で,明暗に応答した核運動不全変異体を単離に成功した(独立2系統).これらの変異体では他のオルガネラ運動は正常であり細胞核が特異的に運動できなくなっていた,この表現型から,これら変異体の原因遺伝子は申請者がこれまでに報告したミオシンXI-i複合体による制御系に深く関わっていると考えられる.この発見に加えて,核内側から核膜を裏打ちしていると考えられる因子が核運動に関与することを見いだした.これまで同定された核運動を調整する因子は全て核膜および核外因子ばかりであったことから,この発見によって初めて,核内から核外へと貫くリンカー因子の存在を示唆することができた. 核構造が異常になった変異体スクリーニングにより,核膜構造を規定する新規分子を同定した.この因子は長いコイルドコイル領域を持ち,構造タンパク質として機能することが推察された.この因子を欠く変異体では,核形態以外にも様々な表現型をしめしており,多面的機能を持つことが考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り,細胞核の運動不全変異体をスクリーニングにより2系統単離することができた.またこのスクリーニングの過程で,細胞核の形態異常の新規変異体を1系統単離し,原因遺伝子の決定をすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングによって得られた2系統の細胞核運動不全変異体については,戻し交雑および原因遺伝子の同定を行い,その表現型を詳細に解析する.特に,これまで明らかにされているミオシン複合体による核運動制御との関連について注目するる.核膜の裏打ちを構成するタンパク質による核運動不全変異体については,生殖機能への関与が示唆されるデータが得られている.変異体の表現型解析を通して核運動の新しい役割を明らかにしたい. 細胞核の形態異常変異体の原因遺伝子は構造タンパク質としての機能が考えられた.そこで組換えタンパク質を発現精製し,in vitroでのこの分子の生化学的性質を解析する.特に,自己重合のの有無や他のタンパク質との相互作用の可能性を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
明暗に応答した核運動に異常のある変異体スクリーニングのための条件検討に当初の予定より時間がかかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に単離できた2系統の核運動不全変異体の原因遺伝子の同定,および表現型の解析に使用する.
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