研究課題/領域番号 |
26711019
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
武宮 淳史 九州大学, 大学院理学研究院, 助教 (80448406)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 植物 / シグナル伝達 / プロテオーム / フォトトロピン |
研究実績の概要 |
フォトトロピンは青色光の受容により活性化する受容体キナーゼであり、光受容に伴い自己リン酸化を示す。本年度は、シロイヌナズナ形質転換植物と昨年度確立したフォトトロピンとBLUS1の組換えタンパク質を用いたin vitroリン酸化アッセイ系を用いて、これまで未解明であったフォトトロピンの自己リン酸化の機能的意義について調べた。これまでの研究からフォトトロピンのキナーゼアクティベーションループに位置するSer残基の自己リン酸化はシグナル伝達に重要であることが分かっている。そこでこのSer残基をアラニン(Ala)に置き換えてリン酸化させなくしたもの、あるいはアスパラギン酸(Asp)に置き換えて疑似リン酸化させたものをシロイヌナズナのフォトトロピン変異体に発現させ、フォトトロピンN末端領域の自己リン酸化とフォトトロピンのリン酸化基質であるBLUS1のリン酸化を同時に調べた。作製した形質転換植物から孔辺細胞プロトプラストを単離し青色光に依存したリン酸化を調べたところ、Ala置換体を発現する細胞ではBLUS1のリン酸化が低下していたが、フォトトロピンの自己リン酸化は正常に見られた。一方、Aspを発現する細胞では野生株と比べてBLUS1のリン酸化レベルが高く、そのリン酸化は長時間に渡り維持された。この結果と一致して、組換えタンパク質を用いたin vitroキナーゼアッセイにおいても、Ala置換体では野生株に比べBLUS1のリン酸化が低く、逆にAsp置換体では高いリン酸化を示した。以上の結果から、フォトトロピンアクティベーションループの自己リン酸化は基質のリン酸化を促進させる働きがあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度確立したいin vitroアッセイ系を用いて、フォトトロピンの自己リン酸化の機能的意義の一端を解明し、青色光情報伝達の初期過程について新たな知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はBLUS1が下流にシグナルを伝達するメカニズムに焦点を当て、BLUS1に依存してリン酸化されるタンパク質やBLUS1相互作用因子について研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
キャンパス移転により研究ができない期間が生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
学術研究員を雇用する経費として使用する
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