研究課題
アカトンボ(トンボ科アカネ属)は、日本のトンボの中で桁違いに種数が多く、体色や斑紋に著しい多様性がある。昨年度までに、トンボは色覚に関わるオプシン遺伝子が著しく多様化していることや、アカトンボに近縁なチョウトンボで、翅色多型と強い相関がみられる遺伝子を発見していた。2018年度は、ゲノム解析とゲノムPCRによってチョウトンボの複数個体で原因遺伝子周辺の遺伝子解析を行った。その結果、原因遺伝子座には、相同染色体間に著しい多型が存在すること、翅色と完全に連鎖する遺伝子は1種類のみであることが確認された。また、翅色多型の原因遺伝子は、これを保持する個体は雌雄ともに幼虫、成虫を通して翅特異的に発現することが確認された。さらに、メスではエレクトロポレーションを併用したRNAiによって、翅の表現型が変化することが確認された。また、翅色の色素分析とRNAseq解析の結果、翅色と強い相関のあるメラニン色素の種類およびメラニン合成遺伝子の概要が明らかになった。アカトンボの仲間は、翅に特徴的な模様のある種が存在するが、模様を切り分けたRNAseq解析によって、模様の形成と関連のある遺伝子も複数同定することに成功した。さらに、一部の種では、成熟に伴って体表にワックスを分泌し紫外線反射が見られるようになるが、これらの種では色覚に関わるオプシン遺伝子の解析および複眼の分光感度も、成熟に伴い紫外線周辺が有意に変化することが確認された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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