トンボの色覚や体色形成の進化に関しては、生態学的な側面からの研究例はあるものの、その分子機構に関しては、世界的に見ても未解明な点が多かった。本研究から、トンボでは色覚に関わるオプシンが動物の中でも例外的に多様化していることを発見した。また、オプシン遺伝子は、トンボの幼虫と成虫で全く異なる発現を示すこと、トンボの種間で遺伝子数が大きく異なることが確認された。体色変化に関しては、トンボが極長鎖メチルケトンと極長鎖アルデヒドという特殊な組成を持つワックスを分泌して紫外線を反射することを発見した。さらに、エレクトロポレーションを併用したRNAiによる遺伝子機能阻害系を確立することに成功した。
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