研究課題
前年度に蛍光顕微鏡機器を導入したため胚発生における遺伝子発現の観察が可能になった.また,本年度はミクロトームをようやく導入することができ,所属部局での効率的な組織切片づくりが可能になった.理化学研究所にてPtch1,Ihh,Tgfbr2,Fgfbr2,Dlx5,dhand遺伝子のプローブ作成を行った.また妊娠マウスよりE11.5~E17.5ステージの胎子を各種採材し,先述のプローブを用いてホールマウントおよび連続切片でのin situハイブリダイゼーション法による染色を進めた.また連続切片を川本法による回収を行い,その後ヘマトキシリン=エオシン染色によって神経,軟骨,骨,筋肉等の染色を行った.Amiraソフトウェアを用いて頭蓋冠における骨,軟骨,筋肉,脳,末梢神経,血管の発生過程,各形態パーツの三次元的位置関係をコンピュータ内で再構築した.また,人体発生の研究を本学教育学部と京都大学医学研究科と進め,人体における頭骨の骨化・成長・縫合の過程の三次元的な把握を開始した.人体発生も視野に入ってきたことで,哺乳類全体における頭骨発生の統合的理解にさらに近づいたと期待される.さらに,北海道等で野外捕獲を継続し,小動物胎子の収集につとめた.
2: おおむね順調に進展している
in situ ハイブリダイゼーションなどの実験発生学的解析は順調に進んでいる.また研究補助員の雇用によって三次元再構築や解析の進行も効率的に進んでいる.
ミクロトームの導入によって所属部局内でマウスやその他の哺乳類の胎子標本を効率的に組織切片化することができるようになった.これまでは部局外での作業が多く必要であったが,これにより順調に研究が進められるようになったことは極めて大きい.現時点ではまだ大雑把にしか縫合閉鎖過程を追えていないが,次年度は特に頭骨の縫合癒合が急速に進行するE.15~E17.5を集中的に採材し,引き続きin situ ハイブリダイゼーションによって縫合過程の詳細な観察を行う.また川本法による大量の組織切片作りが必要であり,研究補助員の投入によって効率的な作業進行に務める.
購入予定にしていたワックスディスペンサーの納入が遅れ,次年度以降の納入となったため.
次年度購入するワックスディスペンサーへの拠出にあてる.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 備考 (1件)
Proceedings of the Royal Society B
巻: 283 ページ: 20152606
10.1098/rspb.2015.2606
生体の科学
巻: 66 ページ: 246-250
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/projects/vq2015/vq14.html