哺乳類が哺乳類型爬虫類の一群から起源した過程で,哺乳類型爬虫類において40個ほどの骨が構成していた頭蓋は哺乳類で28個の構成骨に減少した.これら10数個の骨は哺乳類に至る系統で完全に喪失したと考えられてきた.しかし,失われたと従来考えられてきた骨のいくつかは実は哺乳類でも保持されている可能性が出てきた.そこで,これらの骨は胎子期には存在しており,それらが発生の進行の過程で癒合が進むことで見かけ上の骨数が哺乳類で減ったかに見えるようになったという作業仮説を立て,その検証を行った.その結果,胎児期には祖先的爬虫類様の頭部形態がかなりの程度みられることを確認した.
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