研究課題
本研究の目的は、植物多様性の主要軸と見なされる葉の光合成能力の多様性と、植物の高さの多様性に着目し、それぞれのトレードオフとその物理的・生化学的基盤の解明を目指すことにより、植物多様性の原理を理解を深めることであった。光合成能力の多様性については、葉の寿命とトレードオフの関係にある光合成効率(窒素あたりの光合成速度)に着目し、長い葉寿命に必要な丈夫な構造がなぜ光合成の効率を低下させるのかについて詳細な解析を行った。本研究では、申請者自らがデータを集めるだけでなく、国際共同研究チームを組織して、世界規模のデータベースを構築することにより、国際的に一般性の高い検証も行った。数百種に及ぶ詳細なデータを解析した結果、長い寿命をもつ葉は、細胞壁の重量割合が高く、そのため、光合成タンパク質の割合がすくないこと、さらに細胞壁が厚いためにCO2拡散抵抗が高まることにより、光合成の効率が低いことが明らかになった。これらの研究結果は、植物科学の一流雑誌に掲載され、また生態学の権威であるReich教授による論評も付けられるなど、注目度が高い論文になったと考えている。植物の高さの多様性については、計画どおり、苫小牧、屋久島、ランビルでの調査を行い、樹木の成長を光獲得効率と光利用効率に分けて解析を行った。その結果、共存樹種間では、樹高とともに光獲得効率が増加し、光利用効率が低下するという一貫した傾向が見られた。また水平方向と垂直方向の光の不均一性を考慮した解析も考案し、興味深い結果が得られた。これらの研究成果については論文執筆中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
New Phytologist
巻: 214 ページ: 印刷中
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http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/170307_1.html