研究課題/領域番号 |
26712004
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉岡 洋輔 筑波大学, 生命環境系, 助教 (50462528)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ウリ科 / 果実品質 / ゲノム / 遺伝子 / 育種 |
研究実績の概要 |
本課題では、4年間の研究実施期間を通して、筆者が過去の遺伝資源探索において見出した果実の肥大性、形態、食味食感等の果実品質に多様な変異をもつキュウリ・メロン系統に注目し、キュウリ属作物の新規需要を生み出す新品種の効率的な育種に寄与するゲノムデザイン育種基盤を構築する。初年度は(1)果実品質のハイスループット・フェノタイピング手法の確立と(2)果実品質に関わる遺伝子の単離のための解析基盤の構築を進めた。具体的な研究成果は下記の通りである。 (1)画像センシング法による果実形態評価手法の検討では、近年急速に発展した情報端末や画像センシングデバイス等のハードウェアと画像解析・数値計算アルゴリズムを活用し、誰が、いつ、どこで評価をしても、従来の方法に比べてより客観的かつ効率的な果実形態のハイスループット高精度評価法を確立することを目的に、本年度はデジタルカメラで撮影したキュウリとメロンの果実画像に対して楕円フーリエ法による形状解析とカラーシグネチャ・EMD法を適用し、その有効性を確認した。 (2)果実品質に関わる遺伝子単離のための解析基盤の構築では、普通栽培と抑制栽培において、遺伝解析材料となる世界最小の果実を着ける雑草メロン、果長が100cmにもなるヘビメロン、果肉の食感(硬さ等)や食味(糖度)が現行メロン品種と大きく異なる系統と、日本型メロンの固定品種「アールスフェボリット春系3号」の交雑後代(F1、F2等)の種子を採種した。また、ウリ科植物ゲノム研究国際コンソーシアムのCucurbit Genomics Databaseやスペインの研究グループが公開しているゲノムデータベースMelonomicsを活用し、上記の系統間で多型が得られるマーカーを選定するとともに、BS-tag法によるマルチプレックスPCR法による効率的多検体ジェノタイピング法を適用し、その有効性を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請時の計画の内、(1)果実品質のハイスループット・フェノタイピング手法の確立については、形状解析及び色彩解析法の有効性が確認できたこと、また、(2)果実品質に関わる遺伝子単離のための解析基盤の構築では、計画通りに遺伝解析材料の作成が着実に進んだこと、また、連鎖解析等の解析に十分な数のSSRマーカーを選定できたことから、本課題の現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
交付申請時の計画の通り、平成27年度以降は引き続き(1)果実品質、特に食感関連形質のハイスループット・フェノタイピング手法の確立と、(2)果実品質に関わる遺伝子の単離のための解析基盤の構築、具体的には高密度連鎖地図の作成に必要なマーカー整備を進める。また、単為結果性の遺伝解析等の結果を学会発表及び投稿論文として公表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額475,946円は、ゲノム分析、DNA抽出法やシーケンスに関わる消耗品費が比較的安価に入手できたことなど、研究費を効率的に使用して発生した残額である。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度からは解析集団のジェノタイピングなどDNA実験が本格化することに加え、表現型評価のための栽培環境整備をする必要があることから、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
|