研究課題/領域番号 |
26712010
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
柏崎 隼 学習院大学, 理学部, 助教 (70570654)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 細胞質分裂 / 収縮環 / 分裂酵母 / アクチン / ミオシン |
研究実績の概要 |
本研究は、細胞を物理的に二分する細胞質分裂のメカニズムについて、in vivoライブイメージングとin vitro再構成系の両方を駆使して包括的かつ詳細に明らかにすることを目的とする。平成26年度は分裂酵母の細胞質分裂過程の各ステップについて、細胞ゴーストを用いた再構成系を構築することを目標に研究を行った。収縮環形成過程の再構成系の構築には至っていないが、収縮環の収縮機構について、更に詳細に解析を行った。ゴースト中の収縮環のFRAP実験を行い、ミオシンIIの動きを詳細に解析した結果、ミオシンは収縮環中で大きく位置を変えないことがわかった。分裂酵母の核分裂過程についても、分裂酵母の細胞ゴーストを用いた再構成系の構築を試みた。hydroxyureaを用いることで、分裂期のスフェロプラストの割合を増加させることができた。ゴースト調製に用いる溶液の条件を検討し、核と紡錘体を安定に保持した細胞ゴーストを得ることができた。 また、分裂酵母の細胞質分裂には、収縮環の収縮に加えて、細胞膜の伸展、細胞壁(隔壁)の合成が協調的に起こることが必要である。細胞壁を酵素で除去したスフェロプラストの状態でも、細胞壁の再生と再溶解を行うことで、収縮環の収縮に伴う分裂溝の陥入が起こることがわかった。この分裂溝形成は、ミオシンIIの活性に依存しており、細胞壁の寄与はないと思われる。今後はこの系についても詳細に調べ、細胞質分裂のメカニズムに迫りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞質分裂のメカニズム解明に向けて、分裂酵母スフェロプラストおよび細胞ゴーストを用いた研究を進めており、一定の成果を上げているものの、研究計画にある収縮環形成過程の再構成系構築、ゴースト試料調整のハイスループット化にはまだ至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまで成功している収縮環のin vitro収縮系を用い、収縮の仕組みをさらに詳細に調べることは、細胞質分裂の仕組みを理解する上で重要である。一方で、ゴーストを用いて収縮環の形成過程をin vitroで再現することは難しいことから、今後は収縮環のin vitro収縮系についての研究を進めると共に、新たに見出した細胞壁に依存しない分裂溝形成についても詳細に調べていきたいと考えている。ゴースト調製のハイスループット化については引き続き検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額は概ね計画通りだが、予定していた出張を取りやめたこと、論文投稿が遅れていること、雇用した実験補助員の勤務日数が流動的であることなどが重なり、一部を次年度に繰り越す必要が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
交付申請書に記載した支出計画に従うが、研究の進捗状況に合わせて臨機応変に使用する。
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