研究課題/領域番号 |
26712011
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
宮崎 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (80712489)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微生物 / 一細胞解析 / 不均一性 / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
遺伝的にクローナルな細菌細胞集団を実験室内の制御された条件下で培養しても、個々の細胞あたりの遺伝子発現レベルには「ばらつき」が存在する。このばらつきを生み出す分子メカニズムや細胞内反応を明らかにするために、昨年度に引き続き、本年度はPseudomonas属細菌の遺伝子水平伝播に関わる不均一な遺伝子発現に着目し、当該遺伝子の発現がONになっている集団とOFFの集団をセルソーターを用いて分離したのち、RNAを回収してRNA-seqに供した。昨年度の手法では十分量のリード数が得られたものの、リファレンスゲノムへのマッピング効率が低かったため、本年度はセルソーターによる分離条件とRNAの回収法に改良を加え、マッピング効率が99%以上の良好な結果を得ることができた。また新学術領域「ゲノム支援」の公募課題に採択され、専門家の助言を得ながら次世代シーケンサーによる解析をよりdeepに行うことができた。現在は、全サンプルのシーケンスがほぼ終了しており、スーパーコンピューターを使った大量データの情報科学的な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の手法の欠点を見つけ、改良を加えることで、微量RNAを用いたRNA-seqでマッピング効率が99%以上の良好な結果が得られた。シーケンスの段階はほぼ終了し、研究機関内にメカニズムに踏み込むめどが立った。
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今後の研究の推進方策 |
スーパーコンピューターを用いて大量のRNA-seqデータの解析を行い、サブ細胞集団ごとの特異的な遺伝子発現変動を見出す。RNA-seqのプロファイルから、不均一性を生み出す候補因子を洗い出し、遺伝学的手法によってそれらの機能を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度中に、新学術領域「ゲノム支援」の公募課題として採択され、RNA-seq解析を支援していただくことになり、外注分析を行う必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
トランスクリプトームのプロファイルに基づいて作製予定の変異株を1細胞解析する際に、高度な画像解析システムが必要なため、その補填に使用する予定である。
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