研究課題
植物は多様なフラボノイドを生合成する。フラボノイドはヒトの健康維持に重要であるのみならず、植物において病原菌からの防御や根粒菌との共生に機能する。フラボノイドの生合成や生理機能の発現には、細胞内外の適切な場所への輸送が重要であるが、その輸送メカニズムはほとんど未解明である。本研究では、ダイズのフラボノイド輸送系をモデルとして、フラボノイド輸送の包括的解明を目的とする。本年度は病原菌、根粒菌、メチルジャスモン酸処理、窒素欠乏条件での発現変動が顕著なABCGサブファミリー7種類の輸送体に着目し、タバコBY-2細胞、形質転換タバコを作出して、ベシクル輸送解析を進めた。現在のところ目的の遺伝子は得られていないが、効率的なベクター構築系を導入しスクリーニングを進ている。フラボノイド分泌の生長過程、栄養条件での変動を明らかにし論文発表を行った。さらに、RNA-seq解析を行い細胞膜型、プラスチド型輸送体の発現変動を包括的に解析した。またトマトや微生物での有用フラボノイド生産に向けて新たな遺伝子を単離した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に従って輸送体のスクリーニングと解析を進めている。候補遺伝子を効率的に解析する系を確立したことと、RNA-seqによる網羅的解析によりプラスチド型輸送体候補遺伝子を見出しているが、輸送活性が生化学的には証明されていないため、この部分は計画よりも遅れているが、分泌解析や有用遺伝子の単離等での進展が大きいため、全体としては概ね順調と考えている。
「フラボノイド輸送系の包括的解明と有用物質生産への応用」を目標に研究を進める。計画より遅れている輸送体スクリーニングを重点的に行うとともに、有用物質生産を目指して新たに単離した遺伝子の解析や生産系の確立を進める。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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