研究課題/領域番号 |
26712019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 太郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (20540876)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農業経済学 / 輪作体系 / 作物モデリング / 制度設計 |
研究実績の概要 |
我が国が、農産物需要の多くを依存する国々との間で行っている自由貿易協定締結交渉は、いずれもその行方が予測できない。従って、国内における主要作物の生産を将来にわたってまで効率的に行える環境を確保するためには、どのような市場環境の変化にも迅速に対応できる生産システムを予め準備しておくことが重要である。本研究は、我が国の水田及び転水田を主な対象として、(1) そのような生産システムの開発に寄与し得る生物物理モデルの開発、(2) 開発されたモデルを実際に活用した、様々な貿易パターン下での最適な作付体系の導出、および (3) 政策目標として各品目の生産量のベクトルが外生的に与えられた際に、最小費用でその目標を実現するための制度設計、の三点を目的とするものである。 プロジェクト1年目の平成26年度は、生物物理学研究として、東京大学西東京フィールドの実験圃場において、食用稲・パン用硬質小麦・麺用軟質小麦を用いた生育実験を行った。ここでは、モデル設計に必要な情報、即ちフェノロジー的観点からみた生育ステージの進展速度、バイオマス量の変化、植物体窒素量等に関するデータを詳細に収集した他、天候データおよび土壌データの時系列変化をロガーにより記録した。収穫された作物については、今後、品質検査を行うことが予定されている。 また、経済学的研究として、関税障壁が取り除かれたときの市場価格の変化を予測する応用一般均衡分析 (Hartel, 1997) の枠組みを用いた分析を行った。ここでは、現在交渉中の自由貿易協定が一つのみ締結された場合、および複数締結された場合のそれぞれについて、我が国の国内市場における作物価格および投入財価格を確率分布として予測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生物物理学研究、経済学的研究のいずれとも研究計画調書作成時に想定された速度で進んでおり、当初研究目的の達成が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き圃場実験においてデータを収集すると共に、残った重要な転作作物である大豆についても圃場実験を開始する。また、日本の農家の経営データを整理し、複数の典型的農家を地域およびタイプ毎に定義する作業を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張に当たり、当初の予想よりも安価な国際航空券が入手できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
圃場実験における土壌センサーの数を増やし、作物生育モデルのパラメターの精度を向上させる。
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