本研究の目的の一つは,土質材料が固体から流体へと遷移する過程を調査することである.流動化した土は,土粒子と間隙水からなる固・液混相流であり,この固・液混相流の運動を把握するには,固相及び液相の移動速度と各相の占有割合(間隙率に対応)の3点を調べる必要がある.また,固体から液体のように流動化する相変化の遷移過程においては,上の3点に加えて摩擦角の変化を知る必要がある.平成27年度は土質材料が相変化をする遷移過程の摩擦角の計測を試みた. 実験では,低拘束圧下において土が固体の状態から流体のように挙動する.その間に,固体の状態では存在しているせん断強度(摩擦角)が減少し,失われる.この過程を測定するため,砂を水平方向に運動させる装置を作成した.水平方向の砂の移動では,粒子間もしくは壁面からのせん断力が存在し,それを測定することで流動化に伴う摩擦角の変化を把握できると考えたためである.平成27年度において,試験機メーカーと打ち合わせを行い,試験機を完成させた.テスト試験を行ったところ,一様に砂が流動化する状況を実現することができす,試験機の改良を行った。 流動化する土質材料のシミュレータを開発することが,もう一つの目標であったが,これについては,Space-Time有限要素法によりプログラムの作成を行った.Space-Time法は移動メッシュを取り扱うことができるため,流動的に動く材料の挙動を追跡するのに向いていると判断したためである.現在までに,簡単な一次元問題が解析可能となった.
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